2008年07月23日

女子高生からのメール

(※同日のmixi日記からの転載です)

昨夜、晩御飯を終えPCの電源入れてメールチェックすると、
見慣れないアドレスからのメールが…

----- Original Message -----
From: "sato maki"
To: <*****@momoi.**>
Sent: Tuesday, July 22, 2008 8:22 PM
Subject: こんにちは。

こんにちは、はじめまして。
吹奏楽部やってます高校生です。メテオスやってます高校生です。
「おまえがゆく道」が大好きで、これ聞く為だけにDSを起動させる事もしばしば。
そこで、おまえがゆく道を吹奏楽部で吹きたいと思っています・・・
楽譜を送っていただけると嬉しいんですが、大丈夫でしょうか?
問題がありましたら、許可を出さなくても構いません。
許可をする時にもしない時にも、返信をしてくださると嬉しいです。

返信は  にお願いします。

部員(楽器)は

クラリネット3人、フルート2人、チューバ1人、ユーフォニウム1人、
テナーサックス1人、アルトサックス2人、ホルン1人、
トランペット3人、トロンボーン2人、パーカッション2人 です。

それぞれの楽器のパート譜を作るのは大変だと思いますので、
返事はゆっくりで大丈夫です。

以上です、突然すみませんでした。
============

といった内容だった。

「メテオス」は2005年に発売されたNINTENDO DSのソフトで、
オープニングやメニューなど主にイベント系の曲を私が作曲した。
「おまえがゆく道」はメニューのBGMで、このゲームのテーマ曲とも言える。

※私の外部ブログ「音紡ぎ」に、
 「おまえがゆく道」の楽譜が雑誌掲載された際の記事があるので、
 よろしければご参照ください。
 http://solid.seesaa.net/article/26253352.html

私の曲をそれほどまで気に入ってくれたこの高校生。
気持ちは大変うれしいし、是非演奏させてあげたいと思う。
こうやって作曲者にメールしてくることも、相当勇気が必要だったであろう。

だが、何点か問題がある。


<1.著作権について>

私のようなフリーの音楽家がゲームミュージックの作曲を担当する場合、
作った楽曲の著作権がどこに帰属するかは、制作時の契約によるのだが、
通常は発売元のゲームメーカーが版権ごと買い取るという契約を結ぶことが多い。
でないと、二次商品を作るときなどにややこしいことになる。
「メテオス」も例に漏れず、発売元のB社と制作会社のQ社が版権を所持しているので、
私が許可を出せば演奏できるというものではないのだ。

もし学校内で演奏するだけなのなら、
それほど細かいことを気にしなくてもいいのではと思われるかもしれない。
だが、以前どこかの学校で卒業記念に学年全員でプールの底にミッキーマウスを描いたら、
ディズニーからクレームが来て、泣く泣く塗り潰したという事例もあるので、
学校内で演奏するだけだとしても、ちゃんと許諾を取った上でするのが最善だと思う。
少なくとも私が許諾無しで楽譜を送るわけにはいかない。


<2.アレンジについて>

文面から察する限り、この高校生は無償で「おまえがゆく道」の楽譜を
送ってもらおうと考えているようだ。
たしかにこの曲は、打ち込みでありながらオケを想定したアレンジを施してあるので、
吹奏楽にそのまま置き換えて楽譜を作るのは、それほど難しくはない。

ただし、メールにある楽器編成は一般的な吹奏楽団に比べかなり小編成なので、
相当な音減らしが必要だ。特に「ホルン1」というのがつらいな…
あとこの学校の演奏技術によっては、簡単に吹けるように配慮しなくてはいけない。
だからたぶん面倒なアレンジ作業になるであろう。

私は、もし上記の許諾問題がクリアになったとしたら、
この子の熱意に免じて無償でアレンジしてもいいと思っている。
ただ、それがどういうことなのか、この子にちゃんと理解をしてほしいのだ。


<3.マナーについて>

このメールには、はっきりとした差出人名がない。
送信者の欄で「sato maki」という名前は見て取れるが、
「佐藤まき」なのか「真木さと」なのかも不明。
性別も書いてないが、ローマ字名から考えると女子高生だろう。
また、この子が何県のどこの高校に通っているのかも全く分からない。

高校生といえども、見ず知らずの他人にものを依頼するときには、
所属する学校名と氏名をきちんと名乗ってから本題に入るべきではないだろうか。


以上のことを踏まえ、彼女を傷つけないような返事を書こうと思案中。
それに、やはり彼女の所属する吹奏楽部の顧問の先生を介して、
交渉を進めた方がいいだろうな。

返事を出して、何か進展があればここで報告します。


♪♪♪♪♪♪ ここからコメント欄 ♪♪♪♪♪♪

TN 2008年07月23日 08:11

ご無沙汰しています。お元気ですか?

なかなか難しい問題ですね。似たようなことが自分にもありました。
(「あなたがアレンジした曲をライブでやるために耳コピしてます!難しいですね!」という
メールが送られてきて、頭を抱えてしまいました…)

色々な人が作品に関わり、それぞれの権利があって、表からは見えない苦労が
たくさんあって、やっと音楽が完成している…という事は、アマチュアさんや若い人たちには
なかなか伝わりにくいのかもしれませんね。
それを教えるはずの教育も、どうかしてしまっている、というのが率直な感想です。

ご健闘と、万事上手く行くことをお祈りします。


♪♪♪♪♪♪

NI 2008年07月23日 19:29

学校の吹奏楽で演奏したいなんて、ステキな話ですね!版権元の会社に声掛けしてあげたらいかがでしょうか。桃井さんが少し手間にはなっちゃいますが、、
似た話がうちの版権物にも以前あって、楽しそうだったのでOK出したことがあります。吹奏楽アレンジや指導なんてのも面白そうですね。


♪♪♪♪♪♪

NA 2008年07月23日 23:26

悩まれますね・・・。
話が通れば、の中に、「誰が」ってのはありますよね。
youtube他では、むしろ推進派と、むしろ保護派も分かれていて、大変悩ましい気がします。

冷たいようなんですが、おいらの場合、「誰」がわからないと何もしない、なんてのが大人からの無言のメッセージのような気もしますが・・・・。

ちなみに、学校って、結構な無法地帯ですよね。教育ならなんでもあり、見たいな・・・。

書きたいこと書いちゃいました。


♪♪♪♪♪♪

MR 2008年07月24日 00:44

やっと文化に対しても理解が広がってきた昨今なので、そろそろ学校で著作権っていうものの教育をしてもいい頃になってきたかしれませんね。
ついでに著作隣接権のことも付随させておいていただければ、スタジオ仕事をやってきたもんとしてはうれしい限りです。

続報をいい意味で楽しみにしています。


♪♪♪♪♪♪

MOMO 2008年07月24日 01:18

お三方それぞれのご意見参考になりました。ありがとうございます。

>TNさん
ご無沙汰です。いつもお忙しそうですね。
うちにも耳コピMIDIデータが送られてくることがありますが、
「ごくろうさま」と言ってあげます。音間違いは指摘しますが…。
他の芸術分野は、創り手⇒受け手の関係が割りとシンプルなのに対し、
音楽は、作曲⇒編曲⇒演奏⇒鑑賞と段階が多いのも、問題が複雑化する要因ですかね。
プロの音楽家でも版権のことを細かく把握してない人もいるくらいなので、
アマチュアの人たちにはなお一層伝わりにくいのでしょう。

>NIさん
私もできるだけ彼女の夢を叶えてあげる方向で考えてますし、
いろいろ周りを巻き込んで話を大きくするのもありかなとも思います。
ゲーム会社がどこもみんな、NIさんの会社のように
「楽しければOK」みたいな大らかさを持っていればいいのですが、
N社さんのように、子供がピアノ発表会で大好きなMリオの曲を弾くのも
許さないみたいなところもあるのは寂しい限りです。

>NAさん
前世紀の権利ビジネスモデルは、この時代には最早通用しないのに、
未だに頭の転換ができない人たちがいるのには困ったものです。
本当の意味で創り手の権利が守られ、受け手が芸術資産の恩恵を享受できる、
そんな体制が早く確立できたらいいなと思います。


♪♪♪♪♪♪

YN 2008年07月24日 01:20

いろいろお世話になっております。

いやー、何はさておき、ネタとしてものすごく
「面白い」
ですね。(失礼!)

3.マナーの観点だけでも、
「大丈夫でしょうか?」とか、
「許可を出さなくても」とか、
表面的にはかなり失礼な物言い。
がんばって、丁寧に、敬語を使おうとしている気持ちは
伝わってくるんですが..

動きがあったらぜひ教えてください。


♪♪♪♪♪♪

MOMO 2008年07月24日 01:34

>MRさん
コメントすれ違いでした。ごめんなさい。
TNさんやMRさんのご指摘のように、
音楽教育のあり方を根本的に見直す時期なのかもしれません。
著作隣接権の保護も確かに重要ですね。

>YNさん
面白く感じていただきありがとうございます。
いやいや、一般高校生に社会人並みの敬語を期待するのは無理なので、
言葉遣いはご愛嬌ですね。ご指摘の通りで寧ろ微笑ましい。
でも最低限「ちゃんと名乗れよ」というのは、柔らかい言い方で返そうと思います。


さてさて、こんなに反響があると続報アップせざるを得ませんね。
皆様、しばしお待ちくださいませ。


〜 つづきはこちら 〜
「続・女子高生からのメール」
http://solid.seesaa.net/article/286236010.html
 
posted by momo at 07:11| 東京 🌁| Comment(0) | 吹奏楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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